ビルマ語は、欧米の言語のような単語ごとの分かち書きはせず、日本語、中国語、タイ語などと同様に連続して表記します。しかし、それをそのままカタカナ化すると、極めて読みにくいものとなってしまいます。したがって、基本的にひとつの意味を持つ「単語」ごとに区切り、そこにナカ点(「・」)を入れることとします。ただし、現状では日本におけるビルマ語のカタカナ表記は、一般的に「単語」ではなく「音節」で細かく区切られています。これはビルマ語のローマ字表記と同様の方法。こちらの表記にも確たる統一性はありませんが、「区切り」に関してはほぼ音節が基準となっています。

こうしたわが国の一般的カタカナ表記にも、何らかの根拠があるとは思います。しかし音節での区切りは、たとえば人名の場合、「アウン・サン・スー・チー」といった形の表記となり、これでは「ヤ・マ・ダ・タ・ロ・ウ」と同じことです。このウェブサイトにおいて表記を「音節」ではなく「単語」を基準とした趣旨は、意味を無視した区切りを避けるところにあります。したがって、その点だけを留意し、あとは「カタカナとしての字面」や読みやすさを考慮して柔軟に(いい加減に?)ナカ点を入れることとします。

つまり、このあたりについては確たる法則性に縛られないということです。たとえば料理の場合、和えものならば材料の後ろに「トウッ」をつければその料理名となります。ご飯はビルマ語で「タミン」というので、その和えものならば「タミンドウッ」と表記します。そして、その店ならば後ろに「サイン」をつけるので、ご飯の和えもの屋ならば「タミンドウッサイン」となります。しかしこれでは読みにくく、また字面もあまりよくないので、この場合は「タミンドウッ・サイン」という具合に途中でナカ点を入れます。あるいは、「タミン」、「トウッ」、「サイン」のいずれもがそれぞれひとつの意味を持っていることから、「タミン・ドウッ・サイン」という表記も考えられます。

なお、ビルマ語には日本語と同様に音便の変化があります。したがって「タミン・ドウッ・サイン」の中の「ドウッ」は、本来の発音は「トウッ」ですが、前にくる音節によって濁音化しているのです。このように前後の音節との関係で発音が変化するのがビルマ語。カタカナ表記においては、そのあたりも考慮に入れなくてはいけない事柄です。