規定によれば、これはちょっと積み過ぎだが...

時折見かける積荷てんこ盛の貨物トラック。積載量はどうなっているのでしょうか。これについては、通常の路上を走行する場合、特に厳密な規定はないようです。ただし、橋を渡る際には一定の制限があります。たとえばヤンゴン管区では、車両の総重量が橋ごとに定められた重量制限を超える場合、超過重量が20トン以下については1トンにつき200チャット、20トンを超える場合は1トンにつき300チャットを、ヤンゴン市の下部機関であるYCDC(ヤンゴン市発展委員会)に支払うこととなっています。なお、このあたりの規定は行政区画によってかなり差異があります。

一方、積荷の大きさについては一定の制限が設けられています。高さは地上より12フィート(約366㎝)を超えない、長さについては荷台後部のテールゲートを倒して積まない、幅は車幅を超えない、といった規定があります。しかし実際はテールゲートを倒して積んでいる貨物トラックが多く見られるように、この規定もそれほど厳しく適用されるものではないようです。このように割と緩やかに運用される制限もあれば、その一方で厳しいものもあります。

たとえば、マンダレー市内への貨物トラック乗り入れには制限があり、これについては、取締りがそれなりに厳しく行なわれているようです。その具体的内容は、積載量12トン以上の貨物トラック乗り入れ禁止。したがって、大型トラックで運ばれた積荷は、マンダレー市内へ入る検間所の手前でダイナなどの2トントラック程度の車両に積み替えなくてはなりません。これを怠ってそのまま市内に入ると、3000チャットの罰金が科せられます。これについては、2回目の検挙で6000チャットに罰金が増額し、3回目には18000チャットとなった上、1ヶ月の懲役が科せられるといった加重措置がとられます。とはいうものの、これもしかるべき手続きを当局に対して予めとっておけば、軽減措置を受けることができます。

ビルマにおける政府の各機関には、「公務員生活向上委員会(ウィンダンテッター・チャウンチー・イェー・アプェ)」というものが設置されています。これは公務員の福利厚生のために設置されている機関。配給に関わる業務はここが行なっており、その他の主だった活動としては、一般の人々をも対象とした比較的安い政府価格での物資販売などがあります。こうした活動を含め、さまざまな方面からの収入は、50%が職員の福利厚生に当てられ、残りの50%は配当(年2回)として各職員へ分配されます。

マンダレー市には、ヤンゴンと同様に市の下部機関であるMCDC(マンダレー市発展委員会)という組織があり、ここの公務員生活向上委員会(以下、生向会に省略)での運搬業務に関わる貨物トラックは、マンダレー市内におけるトランクの3トン規制について、違反の際、罰則の軽減措置を受けることができます。その内容は罰金の9割近い減額。もちろんこれには、生向会の「関連車両であることを証明する文書」(以下、「関連車両証明書」に省略)が必要となります。ただ実際のところ、関連物資の運搬を行なわなくても、生向会に対して1万チャットほどを支払えば、「関連車両証明書」は取得できます(有効期限は1ヶ月間で、継続する場合は改めて証明書を得る必要がある)。なお、ここでの支払いは「申請料」というわけではありませんから、額についての規定はありません。しかし収入として生向会の会計に組み入れられ、領収書の発行もきちんとなされます。つまりこれは、形式上、一種の寄付金(アルー・グエ)といったところになるのでしょう。したがって、おおよその相場として支払われた1万チャットというのは、国家に対する一種の「奉仕活動」であり、ゆえに証明書が取得できるのです。