煮汁の中ではまだ固い部位やアヒルの卵などが煮込まれている。

この料理における人気の秘訣は、その美味しさだけではなく、手軽さにもあります。

串1本に刺してあるモツ類は一口サイズのものがひとつだけという少量。値段は1本30~50チャット程度(2011年8月時点・1チャット=約0.1円)という安価。通常、麺類が1杯500チャット、カレー風煮込みや炒め物などの一品料理が1000~2000チャットといったところなので、ちょっと小腹が空いた時にお菓子感覚で食べられるものと言っていいでしょう。

(※2018年現在は100チャット程度、麺類は1000~1500チャット程度、一品料理は2000チャット~)

女性客は一人で来たり、連れだって来たり...。店主の横にいる少年は店員。

また酒のつまみとしても最適と思われますが、意外にもこの露店で一杯やっている客はまずいません。これは、飲酒自体に対してミャンマー社会がさほど寛容ではないからでしょう。酒類が飲める飲食店も珍しくなく、ビールを宣伝する大看板も街中にありますが、屋外での飲酒はこの国の社会通念からすれば「はしたない」行為であり、酔っ払って路上を歩いていたら軽蔑されます。

ただ、このような社会通念以前に、そもそもウェタードウットーの露店というのは、酒飲みが来るところではないのです。というのも、ここの客層は大半が女性だから。当然例外はありますが、通常飲酒などしないというのがビルマ女性のたしなみ。酒とは無縁の女性が集う場所なのです。

来店率についての統計など当然ありませんが、店の主の感触では女性客は7割ほどといったところ。実際、3時間ほど居座って来客をカウントしてみたところ、男性は2割以下。女性たちがひっきりなしに来る中で、男性はごくたまに来る程度。美味しいものを少量単位から好きなだけ食べられるという点が、彼女たちのニーズに合っているのでしょう。