軽食や間食ではなく、しっかりと食事ができる料理店のことを一般的に「タミンザイン」といいます。大衆食堂から高級レストランまでいろいろなタイプがありますが、ビールなどの酒類が飲める店については「サータウッサイン」または「ピョーブェサーヨウン」といった言い方もあります。料理店のほとんどは、ミャンマー料理、中華料理、インド料理のいずれかの専門店です。そこで、料理別に分けた言い方をすれば、ミャンマー料理店なら「ミャンマー・タミンザイン」、中華料理なら「タヨウッ・サイン」、ムスリム経営の中華なら「パンデー・ザイン」、インド料理店なら「チッティー・タミンザイン」となります。「ミャンマー料理」の中には、中華料理店やインド料理店で食べられるものもあるかもしれませんが、この点についても、ここではミャンマー料理店にしぼります。
【ミャンマー料理店で主に食べられるもの】
- ヒン(カレー風煮込み)・・・各種
- アトウッ(和えもの)・・・特に肉と野菜類を材料とした酸味の利いたもの
- アチョー(揚げ・炒め)・・・肉の素揚げと野菜炒め
- スープ・・・酸っぱい、“甘い”のいずれか
また、ミャンマー料理店には共通の基本的スタイルと言えそうなものがあります。一部高級レストランなどでの例外もありますが、だいたいは次の通りです。
- 飯は、炊くだけでそれ以上の調理はしない。
- 麺料理はない。
- ミャンマー式サービスがある。
ミャンマー料理店のサービスには、他にはない厚いものがあります。もちろん店によって違いはありますが、サービスの良い店では、まさにもてなしを受けているといった感じです。そんなミャンマー料理店における料理の「主役」は、何といってもヒンです。アトウッは、ミャンマー料理に欠かせないとはいえ、例えれば、味のある「脇役」ということになるでしょう。したがって、ヒンを注文するのが、ミャンマー料理店での最も一般的な食べ方。そこで、何かヒンを一品注文してみましょう。おおよそ次のようなサービスを受けられます。
まず、いろいろな野菜が数種類の調味料と共に出てきます。野菜は生のもの、ゆでたもの、漬けものなど。これらは最初からテーブルにおいてある場合もよくあります。そしてご飯、スープと続きます。サービスの充実した店では、さらにタケノコ、トウモロコシ、ジャガイモ、糸コンニャクなどを使ったちょっとした煮ものや炒めものが小皿で出され、注文したヒン以上の量になることがあります。ご飯が少なくなってくると、おかわりをすすめてくれます。スープやヒンの「ヒンイェー(ヒンの汁)」についてもおかわりは自由。これで勘定はヒンの代金だけといった具合です。
ただサービスには差がつきものです。店によっては、ご飯がサービスでなかったり、おかわりが自由でなかったりする場合もあります。ちなみにスープは、いろいろ種類はありますが、出されたものを飲むのが基本。サービスだけに品目の指定は、通常しません。また地域差という点で言えば、サービスはとにかくアニャー(上ビルマ)が充実しています。ミャンマー料理を楽しむなら、ヤンゴンよりマンダレー、といったところでしょうか。