「ダンバウ(ダンバウッ ဒံပေါက်)」は、日本で言えばカレーライスの如く、外来ながら土着化したミャンマーの国民食です。ただ、日本のカレーライスと違って、これは日常的に家庭で作られる料理ではなく、通常は、店で食べるものです。しかし、何かの行事で人が大勢集まる際には家庭でもつくられ、客にふるまうべく、大量につくられます。
さて今回は、ミャンマー本国でダンバウ作りの名人に頼んで作っていただきました。
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まずは、チェットゥンヂョー ကြက်သွန်ကြော်(揚げ玉ねぎ)のための、玉ねぎの皮むきから作業が始まりました。
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調理に欠かせない、使い込まれたまな板(スィンニードウン စဥ်းနှီးတုံး)。これをただの丸太の輪切りだと思ったら大間違い。ただの輪切りなら乾燥で亀裂が生じてしまいます。そうならぬよう、丁寧に手が施されたまな板なのです。
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そのまな板の上で玉ねぎを刻みます。
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すり鉢(ガヨウッソウン ငရုတ်ဆုံ)もミャンマーの料理には欠かせません。このガヨウッソウンは、代々受け継がれている手作りの武骨な石製ガヨウッソウン。この手のものは、今や大変貴重。普通の店には売っておらず、入手不可能です。
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使い込まれたガヨウッソウンで、ニンニクやショウガをすりつぶします。
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家の裏では、煮炊きするために、割れたレンガで即席の釜戸を作ります。
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今回は鶏肉のダンバウ。肉を美味しくいただけるよう処理しています。ダンバウ作りは、一家総出の作業。手軽に作れるものではありません。
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鶏肉はムネ肉とモモ肉とに切り分けられます。これはムネ肉。
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塩で肉に下味をつけます。
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すりつぶされたすりつぶされたニンニクとショウガも肉にまぶします。
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マサラ မဆလာ とアヤウンティンモウン အရောင်တင်မှုန့်(色付けパプリカ)をふりかけて。。。
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そして煮込みます。
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この料理のメインである炊き込みご飯ダンバウは、ダンバウ・サン ဒံပေါက်ဆန်と言われる専用の米を使います。
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この黄色っぽい液体は、バターから不純物を取り除いた溶かしバターの「ギー」です。
このギーを使って、ご飯を炊き込む前に重要な下準備をします。それは、揚げ玉ねぎ作り。ここでは通常の食用油は使いません。ギーで揚げます。ギーをビルマ語で「トーバッ ထောပတ်」といい、固形のバターのこともこう言いますが、もともとはギーを意味する言葉。ミャンマーには「トーバッタミン ထောပတ်ထမင်း」と言われるバターライスがあり、使用されるのはギーです。ダンバウはいわば超豪華なバターライス。ギーが欠かせません。
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刻んだ玉ねぎを、ギーで揚げます。
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焦げすぎないように丁寧に揚げます。
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揚げ玉ねぎは、揚げたあと、砕いて砂糖を混ぜます。(小さな結晶が砂糖)
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下準備ができたら、コメを研ぎ、水とギーを入れて煮ます。
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そして炊き込みます。
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ダンバウには有糖練乳(ノーズィー နို့ဆီ)も入れます。
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ある程度炊き上がったご飯に甘みと色を付ける準備をします。
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ごく少量の赤と橙のアヤウンティンモウン(色付け粉)を水で溶かして液体状にし、有糖練乳は少し水で薄めておきます。
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ご飯は、ある程度炊き上がったらいったんおろして、仕上げにかかります。
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ご飯の上には、薄めた有糖練乳と色付けの液体をパラパラと振りかけたあと、砕いた揚げ玉ねぎを敷き詰め、さらにその上にカレー風に煮込んだ鶏肉をのせていきます。
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再びふたをして弱火にかけ、蒸し焼き状態にします。
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ここでようやく一息。
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そこそこ待って、火力がなくなったところで、くすぶっている炭をふたの上にのせて、上から熱を与えます。
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その間、付け合わせの「漬けマンゴー和え(タイェッチンドウッ သရက်ချဉ်သုပ်)」を作ります。
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ダンバウは、やや濃厚さを伴う料理なので、こうした酸味の利いた和えものは欠かせません。ミントの葉を添えて、さらに爽やかさを増します。
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いよいよダンバウの完成です。3色となるよう、使い込まれた大型ヘラで混ぜていきます。
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手際よく混ぜられ、、、
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皿によそった出来立てのダンバウは最高。
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名人の逸品です。