ターリーズワ(2024年3月10日開店)

■辛さが人気のラカイン料理店

近年、来日するミャンマー人は半年で1万人を超えるペース。そうしたことからミャンマー料理店の増加が著しい昨今、都内では特に駒込がホットスポットと言っていいでしょう。ミャンマー関連の店が集まるビルもあるほど。そんな駒込の駅の真ん前に開店したラカイン料理店「ターリーズワ」。ラカインはミャンマーの少数民族のひとつ。少数民族の料理店は、日本国内には、シャン、モン、カチンなどの店がありますが、中でもラカイン料理店は、辛い物好きのミャンマー人に大人気。同胞のラカイン民族のみならず、いろいろな民族の人たちから辛いラカイン料理を食べたいと言われ、背中を押され、この店を開くことにしたとのことです。

JR駒込駅北口を出て、染井吉野桜記念公園を通り抜けてすぐの駅前にあるターリーズワ

店の客層については、かつてならば、ミャンマー人と日本人と、どちらが多いですか、とたずねたものですが、このような質問の仕方は、もはや時代遅れです。新たなターゲットとして訪日や在日の外国人を忘れてはなりません。辛いラカイン料理と相性の良いタイ料理。どちらも食べられるこの店のメニューは、日本にいる外国人にとって魅力的。こうした人たちも来店するそうです。

くつろげる店内

さて、そんなラカイン料理ですが、特徴は辛さだけではありません。海産物の多さも挙げなくてはいけません。ラカインを含むミャンマーの料理というと「ヒン」というカレー風煮込みがおかずの代表格ではありますが、それ以上に欠かせない存在が「アトウッ」という和えものです。これはミャンマー料理(ビルマ族の料理)に限らず、ラカイン料理にも言えることで、この店では様々なアトウッがメニューの大半を占めています。とりわけ海産物のアトウッの充実ぶりは、ラカイン料理ならでは。具は魚介類だけでなく海藻もあり、チャウッチョー・トウッという和えものは、磯の香りいっぱいのお酒によく合う一品。「チャウッチョー」といえばミャンマーの定番デザートであるゼリー菓子の名称なので、一瞬、ゼリーの和えもの?と怪訝に感じてしまいますが、そうではありません。チャウッチョーというのは、そもそも寒天ゼリーの原料であるテングサという海藻のこと。その和えものなのです。

テングサの和えもの「チャウッチョートウッ」

人気メニューは、何と言ってもラカインモンティーという辛い麺料理。ミャンマー料理にはモヒンガーという国民食といえる麺料理がありますが、ラカインモンティーはいわばそのラカイン版。モヒンガーより遥かにあっさりとした魚だしの透明なスープで、モヒンガーと同様にスナック感覚で食べられる軽めの料理。とはいえ、そこはラカイン料理。辛いです。ゆえに大人気なのです。ただこの店のは激辛というほどではないので、ダシのよく利いた味は日本人の口にたいへんよく合います。

ラカイン料理の定番、ラカインモンティー。食べかけの写真ですみません。本当はもっと量があります。

ランチは11時から16時という長めの時間設定。店のおすすめは「コータガータウッサン(漁師のスープ)」という、えびや魚などがふんだんに入った海産スープ。まさにラカイン料理と言えそうな一品です。

(2024年4月取材)

色々教えてくださった店長さん(右)と。
店名ターリーズワ(2024年3月10日開店)※紹介記事
所在地豊島区駒込2-2-1
電話番号070-9133-6387
営業時間11:00~16:00、17:00~24:00
休業日なし