ゴールデン バガン(2015年1月24日開店、26日営業開始)

■神様から授かったミャンマー料理店

2011年の民主化以降、ミャンマーは「最後のフロンティア」と持て囃され経済的に注目されました。こうした動きは、アジア好きやエスニック料理ファンも覚醒させました。それ以前は、まったく無関心あるいは「ミャンマー料理なんてものはあるの?」というのが一般的な認識でしたが、近年は少しずつ認知されるようになってきました。

そうした中で、早い時期からミャンマー料理を知る日本人の間で注目されていたのが少数民族シャンの料理。ミャンマー料理には油を多用するという特徴があるため、かの国での旅行中、胃が疲れてしまう日本人は少なくありません。その際、嬉しいのがシャン料理。中でもシャンカウスエという米が原料の麺料理は「日本人の味覚に合っている」ととても好評です。

日本のミャンマー料理店では、ビルマ民族(∗注)の料理だけでなく、少数民族の料理も食べられる場合があります。中でもこの「ゴールデンバガン」は、シャン料理の充実ぶりが飛びぬけて際立っています。それもそのはず、シャン州北部の中心都市ラーショー出身であるミョー(サイ)さんとモモさんのご夫婦が営んでいる店だからです。

まさに、本格的シャン料理が堪能できるミャンマー料理店。むしろシャン料理店と言った方がふさわしいほどです。しかし、あえて「ミャンマー料理店」。そこには、このご夫婦の、ミャンマーと日本の交流を深めたい、という熱い情熱が込められているのです。

実は、このゴールデンバガンは単なるエスニック料理店ではありません。お店を営むご夫婦の活動は、多岐にわたっています。

2018年4月から「ランチセミナー」を開催。ミャンマー関連の活動で活躍中の著名人によるトークショーは、2019年12月で14回目を迎えました。また、シャン州での慈善活動を目的とするスタディーツアーを定期的に行っています。ただでさえ多忙な飲食店経営にもかかわらず、こうした活動を同時展開しているのです。

さらにそれだけではありません。

ミャンマー人コミュニティの中には、さらにシャン民族のコミュニティがあります。このご夫婦は、長きに渡ってその活動の中核的存在。シャン民族の「新年会」と「シャン民族の日」という二大イベントなどをコミュニティで牽引しつつ、その一方、上記のイベントを企画・開催しながら料理店を切り盛りしています。

つまり、ゴールデンバガンという料理店は、ミャンマーと日本をつなぐ活動のプラットフォームでもあるのです。だからこそ「ミャンマー料理店」であり、そして、だからこそ「ロケーションが高田馬場ではない」のです。

「シャン民族の日」の名物シャン獅子舞で大活躍のミョーさん。
名司会ぶりを発揮して盛り上げるモモさん。

曙橋駅から徒歩5分のゴールデンバガン。都内のミャンマー料理店にとって、高田馬場以外での出店は、一種の賭けです。モモさんは言います。

「ここは、神様から授かったお店なんです。」

神様から授かった店に賭ける。

(高田馬場なら、もっとお客さんが来るのに。。。)

誰もがそう考えるでしょう。

確かに高田馬場には「リトルヤンゴン」という一種のブランド力があります。近年の客層は、日本人が増加しつつありますが、やはり大半は同胞のミャンマー人。ロケーションによる集客力の高さは確かです。ここなら、こうした見通しが立ちます。

しかし、料理店だけでなく、それを通してミャンマーと日本の交流活動をさまざま展開していくことを夢見ていたミョー(サイ)さんモモさんご夫婦。遡ること6年近く前の2014年、物件探しをしていたおふたりのもとに、思いがけず出店の話しが訪れました。それはミョー(サイ)さんととても親しい和食店の経営者から。ミャンマーが大好きで、ミャンマー人を雇っていたそうですが、店をたたむことにしたそうです。

「居抜きで譲るから、料理店をやってみませんか?」

懇意にしていた方から頂いたお話に運命的なものを感じたおふたりは、出店を決意。高田馬場ではないからミャンマー人客はほとんど見込めません。客層は日本人でしょう。しかし、だからこそ、店をいわばプラットフォームとして、いろいろなことができるはず。

「神様から授かったお店」

この店だからこそ、私たちのしたいことができる。そうして2015年1月24日、僧侶と友人たちを招いてスンヂュエ(施食会)を行い、26日から営業を開始した「ゴールデンバガン」。2020年1月で5周年を迎えました。その間、ミャンマーと日本の交流企画を数多く実施。決して楽ではありません。しかし、そこには自分たちが思い描いていた夢があります。神様から授かったお店だからこそできる両国の交流活動。だからこそ、店の表看板は「ミャンマー」料理店なのです。

開店に際してのスンヂュエ。
おしどり夫婦のミョー(サイ)さんとモモさん。

ミャンマー料理店というからには、ビルマ民族の料理のメニューが揃っていて味が良いのは当たり前。そして、さらにこの店の特徴となっているシャン料理。これがすごい。種類が豊富ですべて自家製というこだわり。北シャンの中心地ラーショー出身だからこそ出せる手作りの味に、妥協はありません。まさに正真正銘の本格的シャン料理。ビルマとシャン、二つの民族の料理を存分に楽しめるゴールデンバガンは、ミョー(サイ)さんモモさんご夫婦の日緬交流のエネルギッシュな想いにあふれた素敵なお店です。

※店の場所(地図)はこちら
※店の公式ウェブサイトFBアカウント

(2020年1月取材)

店名 ゴールデン バガン(2015年1月26日開店)
所在地 新宿区富久町8-20 カーサ富久町 1F
電話番号 03-6380-5752
営業時間 11:30~14:30、17:00~22:00
休業日 日曜、祝日(祝日はディナーのみ営業)
絶品ウェッタチン(豚肉と米の発酵ソーセージ)。
たれの旨みが抜群のトーフドウッ(シャン豆腐和え)
手作りのヒンドウッ(蒸し米粉)。
本場シャン州の味そのもの。