「危なくない?」
 「タイに行くの?」
 「ビルマってどこにあるの?」

  ビルマへ行くたびにまわりの人たちからいつもこう言われます。おそらくこれは日本人が持っているビルマについての平均的なイメージでしょう。

  世界には190以上もの国があります。したがって、その中の1国についての情報が、ある特定の事柄に片寄っていても、それはむしろ当然のことです。その国についての話題や関心、そしてイメージといったものも、おのずとその延長線上に来るでしょう。ビルマについて言えば、一、二に政治、三に経済、あとはほとんど何もなし。これは言い過ぎではないでしょう。実際、ビルマという国についてはあまり知られていません。隣国タイと混同されたり、漠然と「危ない」国だと思われてしまう。そんな感覚が日本では極めて平均的、一般常識的ではないでしょうか。

  今、日本に住むビルマ人の数は1万人程度と言われています。特に首都圏を中心としたビルマ人の様々な活動は、かなりしっかりしたビルマ人コミュニティーが日本に形成されていることを感じさせます。確かにこうした活動のほとんどは、一般の日本人の目にほとんど触れるものではないでしょう。しかし在日ビルマ人社会の中では、たとえばビルマ最大の年中行事であるダヂャン(水かけ祭り)が中野の駅前公園といった場所で行なわれ、毎年恒例のイベントとなっているのです。あるいは有志のビルマ人たちによる伝統舞踊団などもいくつかあり、地道な公演活動の継続によって、地方のイベントに参加するほどの文化交流的な広がりを見せています。

  このホームページの開設は、ビルマ好きが高じて発刊に至ったミニコミ誌『バダウ』の延長線上にあります。
  
  1990年に初めてビルマを旅行し、以来ハマってしまったわけですが、それ以前はマスコミ報道を通しての知識しか持ち合わせていなかっただけに、この国へのイメージは「一般常識的」なものでした。したがって、ビルマへ行き、感じた従来のイメージとのギャップの大きさは、一種の嬉しい衝撃でした。とは言え、一般的イメージ通りの「危なさ」についても、一般ビルマ人の立場からすれば避けがたいものとして、この国に存在しています。つまり、マスコミは間違ったことを報道しているわけではない、しかし、それが「すべて」ではない、ということなのです。

  ビルマ人とその日常茶飯の中に存在するこの国の豊かな大衆文化。わからないことばかりですが、ゆえに感じる計り知れない魅力。そこには、美しさ、不可思議さ、安らかさ、優しさ、厳しさ等々があり、それらが実に興味深く、そこを感じた上でこの国を眺めてみると、この国に「危ない」という言葉を単純に当てはめることはできない、と言わざるを得ません。

  そうは言っても、こうした文化的事象と「危なさ」の関連については、わからないことばかり。これについて論理的に言及することなどは到底できません。ただ、この国に魅せられた者として、「危ない」がビルマ全体に対する漠然としたイメージとなっていることについて、大きなギャップと残念さを感じています。このギャップを埋める、などと大上段に構えるつもりは毛頭ありません。しかし、このホームページ『バダウ』がそのささやかな一助となれば、との思いは持っています。

  学術的知識などは皆無の単なる旅行好きが、「好き」という想いだけを原動力として、ビルマの日常茶飯事にちょっとこだわっていこうと思っています。