長距離バスの場合も国営と民営とがありますが、民間による所有・運営がその大部分を占めています。したがって、ここでは民営を中心に見ていきます。
使用されている車両は、前述の市内バスにおける6種類のうち、植民地時代からの改造バスを除いたものとなります。これらの経営母体の大部分は個人ですが、会社組織もあり、それぞれの運営方法には違いがあります。なおエアコンバスについては、現在のところ会社組織だけが保有しています。
個人経営の場合は、その地域にある貨客輸送自動車組合に加入しなければなりません。組合は大きな町ならば複数あり、バスのような旅客輸送、あるいはトラックによる貨物輸送といった業種が対象となっています。バスの場合、旅客運送業のみの組合が中心ですが、貨物運送業との合同組合もあります。こうした組合は例えば「シュエナガー(黄金の龍)」といったような名称を持っており、その実質的な運営は、メンバーの中から選ばれた者たちで構成された統轄委員会が行っています。これはヤンゴンの市内バスにおける「マタタ」の如き統轄機関の民営版とも言えるような機能を果たしており、運賃設定を含むライン(営業運行ルート)に関わる業務全般を担っています。特にライン管理については、各ラインに設置された「ゲイッ」と言われる下部機関がその実務にあたります。こうして個人経営のバスは、組合の統轄委員会が定めた規定に従って、ラインにおける営業運行を行ないます。なお、運行の規模についてはさまざまで、地方における町や村を結ぶ1時間程度のものから夜行バスのような10数時間のものまであります。
会社組織が経営するバスについては、運行規模が長時間の夜行バスが中心で、各々の会社が独立した形で運営を行っています。したがって運賃についても会社によってそれぞれ異なり、例えばヤンゴン~マンダレーのエアコンバスの場合ならば、1,600~2,500チャットといった具合にかなりの幅があります。運賃にはこうした幅があるため、いわゆる外国人料金には注意を払う必要があります。