民族別に分類されるムスリム |
イスラム教の寺院のことをモスクと言います。ビルマにおけるモスクの数は、1997年に出版された情報省の刊行物『黄金色の光を放つ宗教』によれば、ヤンゴンに171(詳しい内訳はこちら)、マンダレーに200、ヤカイン州に1238などとなっており、全国の総数は2266にのぼります(詳細は下の表)。つまり、ちょっとした町であればたいていモスクがあり、その存在は決して珍しいものではないということです。そんなビルマのイスラム教には、細部においていろいろな流れや宗派があり、モスクもそうした関連の上に成り立っているようではあります。ただ宗派については、それへの強い帰属意識が一般の信者たちからあまり感じられません。もちろんすべてのムスリムが一概にそうだということでは決してありませんが、全体的な特徴として、この国のイスラム教においては、宗派よりもむしろ民族的な違いの方が重視されているようです。そのあたりをふまえてビルマのムスリムを大雑把に分けてみると、だいたい次の3つのグループにまとめることができます。
- 「バマー・ムスリム」・・・ビルマ系ムスリム
- 「インディア・ムスリム(カラー・ムスリム)」・・・インド系ムスリム
- 「パンデー」・・・中国系ムスリム
中国系は、南中国の雲南を出身地とするムスリムで、この国では一般的に「パンデー」と呼ばれています。インド系の場合は、さらに個別的に「チュリヤ・ムスリム」、「バンガリ・ムスリム」というように、出身地に応じた呼び方をすることもあります。これら中国系・インド系のムスリムに対し、自らを「バマー・ムスリム」と称するのが、ビルマ系ムスリムです。このバマー・ムスリムは、ビルマのイスラム教を特徴付ける重要な存在と言っていいでしょう。
ビルマにおけるモスクの数
行政区画(管区・州) モスク数 アラビア語教室 カチン 20 23 カヤー 2 5 カレン 48 69 チン 1 3 ザガイン 94 38 タニンダイー 76 47 バゴー 56 55 マグエ 29 29 マンダレー 200 107 モン 94 68 ヤカイン 1238 105 ヤンゴン 171 111 シャン 85 35 エーヤワディ 152 64 合計 2266 759 『黄金色の光を放つ宗教』()1997年刊より