ラシオ(2016年12月1日開店)
■シャン料理が食べられるアジアン居酒屋
川崎で唯一のミャンマー料理が食べられるアジアン居酒屋「ラシオ」は、全国でも珍しいシャン料理店といってもいいでしょう。
さて、今ではすっかり日本で定着したタイ料理店。日本初は、1959年時点で存在していた「バンコック」のようです。ネットでの検索では有楽町にあった1979年創業の「チェンマイ」が日本初と出てきますが、いずれにせよ59年から79年までの20年間でタイ料理店はほとんど増加しなかったことがわかります。しかし1980年代半ばの激辛ブームの延長線上で始まった90年代のエスニックブームの流れに乗ってタイ料理店は急速に増え、全都道府県に存在するに至っています。
一方、1991年に初登場したと考えられるミャンマー関連の料理店は、様々な要因でエスニックブームには乗れなかったものの、28年を経て、現在(2019年)全国で40店ほどが営業中です。
そんなミャンマー料理店が定着していく上で日本人客の増加が必須なのは、言うまでないことです。そういう意味でも、リトルヤンゴンではない武蔵小杉で2016年にアジアン居酒屋として開店した「ラシオ」は、情熱あふれるオーナーのさまざまな創意工夫と客への暖かいもてなしで、川崎の地でミャンマーの味を提供している何とも嬉しいお店。またオーナーはシャン州出身だけにメニューにはシャン料理もあり、なにより店の看板にはシャン州の地図があり、店名は北シャンの中心地。ちょっと珍しい郷土の素材を生かした創作料理を居酒屋としてのメニューの中に盛り込み、自然な形でミャンマー料理が定着するような工夫がさまざま凝らされています。また、こだわりの自家製野菜もこの店のお勧め。「ラシオ」は、美味しく食べてお客さんたちにとにかく楽しんでほしい、という暖かい思いにあふれた隠れシャン料理店です。
(2019年6月取材)