ミャンマーのカラボー歌謡(∗)における偉大なる伝説的歌手ウ・アンジーが、自身の一族によるコーヒービジネスのために義兄と来日。3週間の滞在中、戦時中から日本との強いつながりを持つ彼は、NHKのテレビ番組に出演し、ミャンマーのカラボー歌謡、そして藤山一郎の「東京ラプソディー」や霧島昇の「誰か故郷を想わざる」といった日本の流行歌を披露しました。
このとき彼が番組の中で披露したミャンマーのカラボー歌謡のひとつに「ピョウントウンレー(ပြုံးတုံ့လှယ်=微笑み返し)」という名曲があります。これは、ミャンマー歌謡史に名声を残した偉大な音楽家ミョマニェインの曲。ウ・アンジーが日本に行くにあたって書き下ろした作品で、日本でレコーディングされました。バックの演奏は、NHK楽団。この貴重な曲は、64年後の2017年に初めて「正規に」リリースされたCDの中に収録されています。
(∗)カラボー=「流行歌」という意味で、ミャンマーの伝統音楽に様々な要素を取り入れて大衆化した20世紀半ばを全盛期とする歌謡曲。現代の視点から見れば、日本の大正歌謡や昭和歌謡に相当する懐メロ歌謡。